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院長日記 | JR香椎駅直結のクリニック
院長日記

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DOCTOR’S DIARY

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2025年2月2日(日)

きちんとした骨粗鬆症の検査,受けてますか?

外来に来られる患者さんのお話を伺っていて,このような言葉をよく聞きます.

“骨粗鬆症の診断を受けて,飲み薬もらっています”,

一見,良いように聞こえますが,実はこの言葉には大きな問題がある可能性があります.

“血液検査は受けていません”とのことであれば,骨粗鬆症のために飲んでいる薬が実は逆効果の事があるのです.

骨は生まれ変わっています.当然,骨も部分的に古くなります.その古くなった骨はそのままだと折れる可能性が高くなります.したがって,体内では毎日,古くなった骨を取り除き,新しい骨を作り出しています.専門的には骨代謝と呼ばれていますが,破骨細胞という細胞が古くなった骨を吸収し骨芽細胞という細胞が新しい骨を造って骨を生まれ変わらせています.健常な成人ですと数年で全身の骨が生まれ変わります.骨粗鬆症の原因として破骨細胞の働きが強すぎて骨が吸収され過ぎてしまう場合と,骨芽細胞の働きが弱くて骨が造られない場合があります.ですから,骨粗鬆症の治療では,何が原因かをしっかりと検査して,原因にきちんと対応した薬剤が必要となります.どんなに牛乳などを飲んでカルシウムなどを摂取しても,骨芽細胞が働かなければ骨はできません.どんなに材料があっても大工さんが居なければ家は建てられません.

きちんとした骨粗鬆症の検査があります.女性において,65歳以上で,特に小柄な患者さんには,骨粗鬆症の検査をお勧めします.検査は3つあります.まず,脊椎のレントゲンで,“いつのまにか骨折”がないか調べます.最近,背が低くなったなと感じたら要注意です.次にDEXA法という国際的に認められた検査で骨密度を計測します.前腕の骨などの検査は不正確です.3つ目に血液検査で破骨細胞と骨芽細胞の評価を行います.骨密度が低くなく,破骨細胞の活性が高ければ,破骨細胞を抑える飲み薬であるビスフォスフォネート製剤が適応となります.一方で,骨密度が低い場合,ビスフォスフォネート製剤は骨芽細胞を活性する働きはないため,飲んでも効果はないことになります.骨密度が低く,破骨細胞の活性が高いか低いかで,また,薬剤が違ってきます.残念ながら骨芽細胞を活性する薬で飲み薬はなく注射になります.もちろん,注射には副作用がありますが,きちんとした検査を受け,きちんとした薬剤を使用する事が大事です.

股関節の骨密度は女性の場合平均して72歳以上で,骨が折れやすい密度まで落ちて参ります.是非,65歳以上の方はきちんとした検査を受ける事をお勧めします.