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院長日記 | JR香椎駅直結のクリニック
院長日記

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DOCTOR’S DIARY

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2022年9月26日(月)

関節リウマチのお話①

関節リウマチに関する事柄で,最近わたしが注目しているのが,免疫老化です.高齢発症関節リウマチという診断がありますが,さて何歳から高齢?となります,通常は65歳以上を高齢者としていますが,免疫老化の概念から考えますと高齢発症関節リウマチの概念も全く変わってきます.

免疫老化は,実は若い頃から起こってくる事が分かっています.遺伝情報をもつDNAはヒストンというタンパクに巻き付いて小さくクロマチンという構造に収納されていますが,時々,この巻き付きがゆるみます.このゆるんだ状態で細胞分裂が起こると癌化する可能性が出てきますので,細胞自体が判断して細胞分裂を止めてしまいます.こうなった細胞は老化細胞と呼ばれ,死ななくなり,逆に炎症をおこすサイトカインという物質を分泌するようになります(SASP: senescence-associated secretory phenotype).一方,胸腺も働きが落ちてきて抗原を提示するT細胞もその働きが落ちてきます.そうなりますと,通常の抗原抗体反応で起こる関節リウマチは発症しなくなり,逆に老化細胞から分泌されるサイトカインで炎症が起こる状態になってきます.
ですので,わたしとしては,高齢発症関節リウマチのある症例群は免疫老化型関節リウマチと呼んだ方が良いという病態をもっていると考えています.勿論,高齢でも抗CCP抗体陽性の関節リウマチも存在しますので,抗CCP抗体の有無にて病態をふたつに分けるべきと考えています.