2024年7月14日(日)
永年の夢,モルダウを聴きました
スメタナ作曲の交響詩モルダウは,チェコを代表する名曲です.このメロディに感動して数十年,一度は本場のオーケストラで聴きたいと思っておりましたが,7月7日にプラハ放送交響楽団が来福され,永年の夢が叶いました.しかも前から2列目という特等席でした.チケットは半年前の1月に購入し,首を長くして待っていましたが,ようやく七夕がやってきました.
コンサートは2部構成で前半が連作交響詩「我が祖国」より「モルダウ」と三浦文彰氏によるドヴォルザークのヴァイオン協奏曲,後半がドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」でした.コンサートが始まり,モルダウがいきなり始まりました.あのヴァイオンの調べを聴いた瞬間に,おもわず目頭が熱くなりました.久しぶりに琴線に触れた感じを味わえました.三浦文彰氏の独奏もとても素晴らしく,「新世界より」も感動!の連続でした.
以下,受け売りですが,わたしの最も好きな曲の背景の紹介です.
モルダウはチェコ語でヴルタヴァ川を意味します.この曲は「我が祖国」という作品の中の1曲であり,チェコの独立運動の支えともなった曲です.ヴルタヴァ川はチェコ南部の森に源流があり,北に向かい,プラハ市街を流れ,エルベ河に合流するチェコ最大の川です.
曲の冒頭,2つの源流と,源流が合流し1つの流れになる様子が描かれています.水源で軽やかに水しぶきが跳ねる様子はヴァイオンのピチカート(弦を指ではじいて音を出す技法)などにて表現され,2つの源流の流れはフルートとクラリネットの音色となり,その後,弦楽器が加わり水量が増えて流れて行きます.視界がひらけ流れが明るくなるとオーボエとヴァイオンにて,世界を魅了する,モルダウの主題が響き渡ります.その後,モルダウは流れ,森の狩猟・農民の婚礼・月光と水の精・モルダウの主題の回帰・聖ヨハネの急流と奏でられ,プラハ市街に入って行きます.
プラハは尖塔が多く, “百塔のプラハ”とも呼ばれる,とても美しい古都です.
モルダウが名曲たる由縁は,プラハ放送交響楽団により完璧に演奏される,その美しい旋律とともに,川の源流からプラハに至るまでの情景が目に浮かぶように奏でられるところでしょう.目を閉じると,モルダウの川のほとりに立つ事ができます.
プラハ放送交響楽団は,まさにモルダウの流れを知り尽くしたプラハのオーケストラ! 最高の演奏を堪能できましたが,演奏の中に,祖国を思う気持ちも感じ取る事が出来ました.
いつか,モルダウの流れにのって,プラハの街を眺めてみたいと思います.